作成中16話 一時保管


「ではアルト殿、備品室の点検からお願いしたい」

 ルカスさんとの面談から翌日、使える古代遺物やパーツを再発見するために公共施設保全局の備品室にお邪魔している。
 備品室は出入り口近辺が作業場所となっており、その他は整然と棚と箱が並んでいる。棚と箱にはタグやラベルがつけられている。奥行きは100mほどはあるだろうか。棚は僕達の背丈よりやや大きい位。壁際に脚立もある。
 
「こんなにたくさん……」
「精査のしがいがあるね!」
「もう好きにしていいですよ」

 リリーがなぜか苦笑している。こんなに古代遺物を愛でられるなんて幸せなことじゃないか。

「アルトさん分かります。備品室に入るとついつい抜け出せなくなっちゃいますよね。ついつい他のものに目移りしちゃいますよね」

 エレナが同意してくれる。

「だよね! それでよく怒られたんだよね〜」
「アハハ、アルトさんもそうだったんですね」

 リリーが釈然としない様子で首をかしげながら口を開く。

「それでどうやって修復してゆきますか? 数が多いですし闇雲にやってたら終わらないですよね?」
「それについてだけど、実際に故障した古代遺物とジャンクパーツを見てみよう。それで僕で直せそうなものをピックアップして作業場所を借りて修復しよう。その流れでいいかな?」
「分かりました。それなら効率よくやれそうですね。そうしましょう」

 方針が決まったらところでルカスさんが口を開いた。

 「それじゃよろしく頼むね。私は部屋に戻るから」
 「お忙しいところありがとうございました。お役に立てるよう頑張りますので」
 「吉報を期待してるよ。それじゃ」

  ルカスさんが手を振りながら備品室から退出した。エレナが僕の手を握る。

「私が案内しますね。こっちです」
「う、うん」

 突然手を握られて一瞬ビクッとする。 エレナに手を引かれながら歩く。さり気なくエレナの顔を盗み見るとエレナはニコニコしている。他意はなさそうだ。ああ、この子もマイペースなんだな。親近感が湧いてくる。視界の端にリリーが映る。恨めしそうに口を尖らせている。これは不可抗力です。気付いていないフリをしてやり過ごすこととした。リリーが低く唸ってるような気がするけど、気にしない気にしない。そうこうするうちにエレナが足を止める。

「ここから先が故障した古代遺物やジャンクパーツのエリアになります」
「えっ?まだフロアの中央手前くらいだよ?」

 フロアの終端から見て、まだ4割位しか歩いていない。広いエリアだからそれなりの量はあると思っていた。それでも故障部品は3割位かと考えていた。蓋を開けてみると備品の6割が不良品ということになる。
 エレナが僕の手を離し、胸の前に両手を出してお願いのポーズをとる。

「お願いです、アルトさん。 貴方しか頼れる人がいないんです。遺跡からの供給は安定しないんです」

 エレナが必死にお願いしてくる。数が膨大だから僕が断るとでも思っているのだろうか?

 「任せて。ただ思ってた以上に量が多かっただけ。当分は退屈せずにすみそうだね」

 不敵に笑うとエレナが感極まったように笑う。誤解が解けた後に作業を開始した。エレナが指示した棚から優先的に僕がチェックをする。直せそうなものは作業エリアに持ってゆき修復作業を行った。修復出来たものはエレナ監修のもとリリーが指定された場所に戻した。そうやって修復と備品の再配置が同時並行で行われた。
 3日後───備品室のチェック&修復を完了させた。結果、不良品の8割を修復させることに成功した。魔力回路の規格外、魔法コードの劣化といったものは比較的簡単に直せた。難しい修理については共食い整備の形式で修復を行った。共食い整備にあたり、部品の抜き取りでエレナした。自分一人じゃここまでスムーズには出来なかっただろう。
 2日後───公共施設保全局の修理工が嬉々として街全体で噴水や街灯の修理作業を行う。交換後の不良部品を同様に修復を行った。
 更に2日後───どうしても修復出来ないものは僕、リリー、エレナが現地に赴き修理を行った。無事に全ての噴水と街灯の修理を完了させた。そしてルカスさんの執務室にまた呼ばれることとなった。

「アルト殿、実によい働きをしてくれた。本当に助かったよ」
「お役に立ててよかったです。僕も新しい古代遺物に触れられて楽しかったです」
「父さん、アルトさん凄かったよ。ほとんどの古代遺物を一人で直しちゃったんだから」
「いやいや、エレナとリリーのお陰だよ。二人が協力してくれたおかげで魔法コードの改修に専念出来たわけだし」

地の文で本心であることを告げる
自分の行いを過度に誇るつもりはない。
リリーが出し入れを適切に行ってくれた。エレナが古代遺物を物理的に分解、組み立てをしてくれたから魔法コードの改修に専念出来た。
客観的に自身の貢献度について図れている。(第三者から見た時とズレはあるが)

ルカス、アルトを再評価する。
地の文にルカスの表情も付け加えておく。
目を細めて穏やかな表情をする。
アルト殿に頼んでよかったよ───さて、推薦状についてだよね?

アルト反応、不安
お願い出来ますか?
不安と期待。
自分としては精一杯やったつもりだけど、はたして推薦状は書いてもらえるのだろうか?
結局僕は故障品の2割は修復できなかった。もうちょっと時間をかければ直せるものもあったけど費用対効果の関係で見送られることとなった。だから断られても仕方がない気もする。

ルカス反応。逆転
快諾するルカス。
ケチのつけようがない。諦めていた不良在庫が使えるパーツに変わった。何も言う事はない。
満面、にっこり。
話はエレナから聞いている。共食い整備で使える部品はしっかり使い切ってくれたんだよね?
使えない部品をよりすぐってくれたことを感謝しているよ。使えない部品は魔法学校に寄贈しようと考えている。
ユーモア、ジョーク

アルト反応、歓喜
本当ですか! ありがとうございます!


ルカス反応、良きに計らえ。歩調を合わす
礼を言うのはこちらの方だよ。
最大限の便宜は図らせてもらうつもりだ。


ルカス、話題を切り替える。
コネづくり。ライセンスとった後にどうするのか訊ねる。
アルトとの関係性を今回の1回きりで終わらせたくない。
人間的に好きで極めて有用だから。
能力がある割に野心、私欲がない。管理者として扱いやすい人材。
今はアルトのお陰で在庫が潤沢にあるけどいつか尽きる。またアルトの力を借りる機会が必ず生じる。
大なり小なり打算はあるけど、好意に対して好意を返したいという純粋な善意もあると思う。バカはみんな大好き。
ルカスの役割を考えると、関係者と良好な関係を保つことは必須だと思う。


アルト、ルカスの意図は気にせずに返事する。
もちろん古代遺跡に潜りますよ。暫くはレリクヴィアの街に逗留するつもりです。


ルカス、動く。交渉。
アルトをスカウトする。
だったら局の特別顧問になってくれないだろうか?


アルト、意図が分からない。オウム返しする。
「特別顧問?」


アルト地の文
流石にYESとは言えない。意味が分からないから。疑問が先行する。
なんだか凄そうな肩書だけどどういった意図なのかは分からない。
ルカスさんだから、悪いようには扱わないだろうけど詳細を知りたい。


アルト地の文、蛇足。マイナス要素
ヴィクトールのことを思い出す。
ヴィクトールが職員に凄い肩書を与えると何故か同僚がいなくなる話を思い出す。
古代遺跡特別調査班とか肩書を与えて辺境の地に古代遺跡を探しに行ってたけど、彼らは元気にやっているだろうか?

 

ルカスが特別顧問について詳細を説明する(アルトの所感の打ち消し)
特別顧問の具体的な説明を行う。
たまに備品室の在庫を見て欲しい。我々ではどうしようも出来ない修復をアルト殿にお願いしたい。
後、可能であればエレナに古代遺物についても教えてやってくれないだろうか?
(ついでにアルトじゃないと修復出来ないような古代遺物も本音で見てもらいたいけどバカ正直には言わない)


エレナ反応、オフェンス。倍プッシュ。ルカスに賛同する。
エレナ、父親の提案に大賛成。アルトに強く依頼する。
「お願いですアルトさん。父さんのお願いを引き受けてください。私、アルトさんともっと一緒にいたいです」

 →他意はない。純粋な好意としてアルトに伝える。


アルト、警戒を解く。ガードを下げる。
そういうことだったらOK。快諾する。

地の文、アルトの所感
冒険者になる前に仕事が決まってしまったことに思うところがある。
ネガティブな感情はない。二人のことを信用してるから。
時間拘束が緩いなら文句はない。
アルトも二人と一緒にいたいから悪い話はない。
冒険者やってたら他のことをやっちゃいけないわけではないし。


ルカスの締めくくり。クロージング。
良い返事をありがとう。推薦状の件は任せて欲しい。我が家の家名にいかけて推薦状を書かせてもらおう。


アルト、安請け合い。ルカスの本気度を分かっていない。
「アハハ、お願いします」

何か、随分と大仰な言い方するなぁ位に思う。まぁ悪い人じゃないからいいけど。


ナレーション、アルト
そんなわけで、推薦状をもって冒険者ギルドに出向く。
1週間ぶり。
先週対応してくれた職員がカウンターにいる。
職員と目が合う。おだやかに微笑んでくる。


職員挨拶。友好的
これはどうも、冒険者になりに来ましたか?
探窟以外にも楽しい仕事を紹介しますよ。


アルト、友好的に返事
推薦状をもらえているから余裕がある。穏やか。
はい、冒険者登録をしにきました。後、ライセンス登録をお願いします。


地の文、アルトが職員にルカスが書いた推薦状を差し出す
ルカスさんに書いてもらった羊皮紙を職員さんに差し出す。


驚く職員
職員、推薦状を受け取らない。驚く。
差し出されているものは理解出来るけど、信じられない。脳がバグっている。
「……これは?」


アルトの返事。事情説明。
「ルカスさん、ルカス・ヴェルディスさんに推薦状を書いてもらいました」


低く唸る職員。(ルカスの名前が有効だから。相応の有効力がないといけない。)
職員、羊皮紙を受け取る。
中身を確認する。

推薦状を参照して最終的にYESとなる。
そこまででどんなチェックを行うか?

 →中身のチェック。
  推薦状が紛い物ではないこと。
  どんなことが書かれているのか?
  書いてくれた人の影響力。ライセンスを発行してよい人物なのか?

 →受付の人がライセンスを発行する場合、ある程度の自由裁量が認められる必要がある。
  個人の判断でホイホイと判断してよいものではないと思う。
  そしてそういう判断を公正に出来る人物だと思う。目の前の人物は。


街単位で見た時にルカスはどの程度の影響力を保持しているのか?

 →ライセンスを発行出来る程度には影響力を持っている必要がある。
  街のインフラを支える部門のトップにいるわけだから、全く影響がないわけではない。
  仮にルカスにそこまでの影響力がなくとも、ルカスの知ってる人間が凄い人物という可能性もある。
  温厚な性格だから知り合いが多い感じする。友好的な関係を持った。


肯定的なコメントを述べる。
ライセンス発行を許可する。


驚きました。まさか1週間で結果を出してくるとは思いませんでした的な。
この台詞を吐く場合はゲームセット。
ライセンスを発行することで決定した後だと思う。
将棋の感想戦みたいな感じ。手の内を晒す。
相手を仲間として認めたからだと思う。

 

ライセンス発行時にトラブルが発生する。
ライバルに因縁をかけられる。

ライバルが因縁をかけた理由
アルトの態度が気に入らない。
ライバル視点から見た時、アルトがヘラヘラしているように見えたから。
ライセンス取得出来ている人間の人物像と大きく異なる。


アルトの真価が分からないこと。
最速でライセンス取得したことで興味を覚えるが、剣の腕前も大したことなさそうだから。
弱くて、ライバル視点では優柔不断な性格に見える。だから気に入らない。

ライバルに争う気概と実行力が必要
まず本人がやる気があること。
そしてその人の発言に一定の影響力があることが望まれる。


『ライバル』
ライバルの性格。
強者が一番偉い。
強さを示せば聞く耳は持つと思う。
血の気は多いと思う。白黒決着をつけたがる。
暴力を振るうことを厭わない。
フリーレンのヴィアベルっぽい感じかな。ぱっと見。
血の気は多いけど、暴力を振るう相手を間違えない感じはする。
作中で出すなら、血の気の多いところを見せてから使うのが吉。

結果が全てという性格してると思う。
ダーティーなことはしないと思う。
正々堂々という概念もないけど。
親の教育の影響で、やや意識高い系に転がってるかも知れない。


実は優しい側面もあるは後で見せる。とかはアリ。
意外性を出すなら実はエレナのことが好きとか。
それ、面白い感じするけど。

武器が強い。
スペックが強い。
スキルが強い。
単純スペックならアルトより強い。
アルトはスキル特化型。
ソロで動いている。


アルトは、単純な強さというより卓抜した知識、機転を効かせて戦う。
このすばのカズマに近い。
カサンドラとの契約で火力だけなら強化されてる。
防御力などはからっきし。


読者目線での強敵(自分の場合)
手心加えなくてよいなら田中シリーズのリチャードさん。
権力を持っているのに無闇に使わない。
自分の素性を隠す。相手の弱みを握るのに手を惜しまない。
勝てる土台を作って相手を自身のホームグラウンドに強制連行する。
不意打ちで一気に倒そうとする。

リチャードさんは強すぎる。
今回はもうちょっと隙のあるライバルが望ましい。


物語に合うようにデチューンしたライバル(隙があるけど強いライバル)
田中シリーズの魔王様が近い。
バカではないし、頭も悪くない。しかし煽り耐性が低い。自制心が足りない。
最終的に理性よりも衝動を優先するタイプ。癇癪を起こす。
その癇癪が暴力でゴリ押せるだけの力を保持している。

魔王様の魅力。何が魅力的?
人間を殺したい理由がはっきりしている。
母親と父親。
主人公に対するコンプレックスとかがはっきりしている。
話が通じない相手ではない。自分でも理解出来るものをもってるのが良かったのかな。
勿論、美人の姉ちゃんという大前提があるが。


ライバルとの共闘
条件付きでアリ。
最初はアルトを侮っている。
ライバル側が順調に進む。
ライバル側がなんか詰まる。
主人公が介入。進化を発揮する。
主人公を見直す。共闘するとか。
(米ソの宇宙開発競争がわりかし近いかも)

 


古代遺跡探窟のライセンス取得
ライセンス取得のプロセス: 
古代遺跡探窟のライセンスを獲得するプロセスを詳細に描写します。
ルカスの推薦状がどのようにアルトのライセンス取得に影響を与えたのか、その過程でアルトが直面した挑戦や試練に焦点を当てます。

新たな旅の始まり: 
ライセンス取得後、アルトがどのような気持ちで古代遺跡探窟に臨むのかを描写します。
ライセンス取得が彼にとってどのような意味を持つのか、そしてこれから始まる冒険への期待や不安を描き出します。
その後どうする?